【麻布の住宅撮影】「引きがない」狭小道路から、建物の美しさを描く正面全景を残す
いつも撮影のご依頼をいただく設計士様から、事前に一通のメッセージが入りました。
「今回は3階建ての外観がポイントの物件なのですが、前面道路がかなり狭く、広角で全体をしっかり写したいです」
普段から都内の一等地を中心に設計されている方なので、厳しい敷地条件での撮影には慣れていますが、このメッセージをいただいた時点で「これはかなりの難解現場になりそうだ」と覚悟を決めて現場へ向かいました。
普通車1台がやっとの「超・狭小道路」
現場は、都内屈指のハイエンド住宅街である港区・麻布。 実は事前のロケハン代わりにGoogleマップで周辺の様子を確認しようとしたのですが、都心部にもかかわらずあまりの狭さゆえか、ストリートビューの画像すら用意されていないような路地でした。
現場に到着して一目で状況を把握しました。前面道路は普通車が1台ようやく通れるほどの幅員しかなく、すぐ向かいには高い塀が迫っています。一歩も後ろに引くことができない、まさに「引きが一切取れない」ロケーションです。
超広角レンズをもってしても、普通に構えただけでは建物の上下左右が大きく欠けてしまうか、強烈なパース(歪み)がついて設計の美しい意図を台無しにしてしまいます。
設計士様が最も見せたい「ファサードの美しいデザイン」「素材感」「3階までの立体的なディテール」。これを正面から歪みなく一枚の絵に収めるのは、現場の物理的な条件からすればほぼ不可能なレベルでした。
プロの見極めと「次の一手」
もちろん、どのような現場でも無理に正面から撮るのが正解というわけではありません。以前、「横に長い4階建て集合住宅を、狭い場所から正面1枚で納めてほしい」とご相談いただいた際は、そこが建物の裏手であったこともあり、無理に正面から歪ませて撮るよりも斜めから描写する方が建築としての美しさを保てると判断し、ご説明の上で斜めアングルで撮影・納品させていただいた経験もあります。
しかし、それが建物の価値を左右する「真正面の勝負カット」であれば話は別です。 過去にも、広大な間口に対して引きが全く取れず、「物理的にどうやっても正面からは撮れない」と言われた横長の自動車販売店の撮影がありました。その時も、絶対に諦めることなく独自の「次の一手」を捻り出し、完璧な正面写真として完成させた実績があります。
今回の麻布の物件も、まさに設計士様にとって絶対に譲れない「顔」となるメインカットです。写真家として何としてもその想いに応え、カタチにしてあげたい。
「普通に撮れば不可能」な現場だからこそ、「では、どうすればこの正面全景を完璧に残せるか?」と思考を尽くしました。
妥協なき技術で「撮れない」を「完璧な1枚」へ
物理的なスペースがないからと妥協したり、不自然に歪んだ写真を納品することはプロとしてできません。特殊な機材の選択、現場での緻密な位置計算とカメラワーク、そして高度なデジタル処理技術を総合的に組み上げる独自の撮影アプローチを敢行しました。
現場での精密なデータ収集と、その後の高度なグラフィック処理によるデータの再構築を経ることで、狭小地の圧迫感を一切感じさせない理想的な建築写真を創り出しています。
完成した一枚
仕上がった写真がこちらです(夕景)。
敷地の狭さを全く感じさせず、建築家が意図した端正なプロポーションと、1階の植栽から3階の開放的なバルコニー、繊細なルーバーの表情まで、垂直水平が完璧に整った美しい全景写真として納めさせていただきました。
「引きがなく正面から撮るのは難しい」と思われるような厳しい立地であっても、それが重要なカットであれば、あらゆる引き出しと技術を結集して最高の写真を創り出します。
都心の狭小地や変形地での撮影でお困りの設計事務所様・工務店様も、ぜひ一度ご相談ください。



























